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金沢初スピリッツ蒸留所アレンビックのジン、発売開始。

2022年10月22日

※海外ではスピリッツにはウイスキーなども含まれますが、日本ではウイスキー、ブランデー、焼酎を除いた蒸留酒がスピリッツとなります。




2022年8月27日。3年の準備期間を経て7月1日に操業を開始したAlembic大野蒸留所(代表取締役 中川俊彦)のファースト・バッチとなるジンが発売されました。その名もALEMBIC DRY GIN HACHIBAN。




HACHIBANはAlembicのジンの基本となるドライ・ジン


蒸留の準備をする中川代表

完成したばかりのHACHIBANのファースト・バッチについて、中川代表に説明してもらいました。

「HACHIBANはAlembicのジンの基本となるようなドライ・ジンを目指して造りました。名前の由来は、いくつもの試作レシピの中で、これだと選び出したのが8番目だったということ、そして使用したボタニカルが地元産を含め8種類だったことにあります。」

「ココ・シャネルも、試作品の香水のサンプルの中から5番目を選んだのでその名がついたと言います。『シャネルの5番』のように『8』というナンバーにはいつまでも長く残る数字であってほしいという期待も込めています。」


ALEMBIC DRY GIN HACHIBAN

「初仕込みの看板商品は、本場のロンドンドライジンの伝統的製法を踏襲し、正統派を目指しました。また、ジンに初めて触れる人にもジンの魅力を伝えたいと思い、”おかわりしたくなる“というポイントにも焦点をあててレシピをつくりました。」

「最終的に使用したボタニカルは必須のジュニパーベリー、そしてコリアンダーシード、カカオニブ、瀬戸内産生レモンピール、オレンジピール、アンジェリカルート、カシア、漢方に使われ県内に自生するクロモジの8種類です。」



「ジュニパーベリーの香りをじっくり引き出すために通常より多く使用し、グレープフルーツのようなフレッシュな柑橘系の香味とさまざまな香味が絡み合う仕上がりになりました。」

さらに中川代表はこう続けます。 「ニュートラルスピリッツと呼ばれる穀物由来の原酒にジュニパーベリー(西洋ネズ)の風味をつけて造るジンは、その他のボタニカル=ハーブやスパイスの配合で個性が出ます。理論でレシピを考えても、実際にやってみると香りの出方が違います。ひとつの原料を加えると他の原料の個性が立ち過ぎてしまい、逆にひとつを減らすとまた別の個性が顔を出したりと、まるでモグラたたきのような作業でした。」



蒸留器の中にはジュニパーベリーやスパイス、レモンなどのピールが。

大野で蒸留を始めるまでのこと






8月の8日にHACHIBANのファースト・バッチを仕込み終えた中川代表は「久しぶりに通しで仕込みました。蒸留を終えホースで床を流している時、横浜でのクラフトビールの醸造時代を思い出し、(酒造りの世界に)やっと戻って来れたなと思わず感慨に浸ってしまいました。そして目の前の貯酒タンクを見ながら、たくさんの人にこのジンを味わってもらおう、いよいよスタートだぞ、と気持ちを引き締めました。」と語っています。

ビール醸造家の経歴を持つ中川代表は2018年、神奈川県から金沢に移住。自身の思い描く「酒」を作りたいとOPENSAUCEで醸造・蒸留酒の計画をスタートさせました。2019年にはスタートアップ企業として株式会社Alembicを設立。日本海を臨み、金沢の海の玄関としても栄えてきた醤油の町「大野」にAlembic蒸留所を建設することになります。



醤油の町、発酵食の町「大野」

この400年の歴史を持ち20社を超える醤油蔵が立ち並ぶ町に蒸留所を開業しようとした思いを、子供の頃を自然豊かなドイツや佐渡島で過ごした中川代表はこう話します。

「初めて訪れた大野は自分にとっての原風景とシンクロする場所でした。子供の頃から海や川、緑と水のあるところで育ったので自然は場所選びの重要なファクターでもありました。また大野の町にもひかれました。古い湊町、穏やかな海辺、土地の文化を守ろうとする人々。大野の発酵食文化の中で新しいお酒を造りたいと考えました。」





「ここ大野のもう一つのポイントは水。「醤油のまち」を育ててきた霊峰白山からの伏流水です。酒を造るには水は大きな魅力でした。蒸留所ではこの白山の水を湛えた井戸水を使用することができました。」

その後のメディア取材では、さらなる思いを語っています。「山が近く魅力的な金沢の環境を生かし、この大野から世界中に売れる商品を造って送り出したいと考えています。そして自分が海外の蒸留所を訪ね歩いたように、海外からもAlembic大野蒸留所を目当てにきてもらえるようになればと思います。また、まずは自分ができる範囲で始めましたが、先々、地元の若い人たちが働く場所になるように、何十年も続く蒸留所にしたいと考えています。」

そして操業を開始した今、「Alembicは人々の食体験を高めていくものづくりを目指し、飲む人も飲まない人もだれもマイノリティにならない時間と空間、価値、そして文化を提供していく蒸留所です」と中川代表は話しています。




大野という地域が見守ってくれた蒸留所



海外で委託製造された単式蒸留器は船で大野についた

完成した蒸留施設



Alembic大野蒸留所はコロナ禍による計画の見直し、海外で製造委託した蒸留器の搬入の遅延、設置作業のトラブルなど、準備に3年を費やしましたが操業を開始できました。また、ここまで来るには、1911年創業『ヤマト醤油味噌』の山本晴一社長、大野町のみなさんの協力と応援の声に助けられたとのこと。

8月22日、FOODCLUBで行われたお披露目会には東京、大阪からも業界関係者が集まりました。『ヤマト醤油味噌』山本晴一社長は乾杯の挨拶でこう話しています。

乾杯の挨拶をする1911年創業『ヤマト醤油味噌』の山本晴一代表



「私は大野町の代表として呼ばれていると思って伺いました。本日は大野のみんなが心待ちにしていた日です。地元の商工会のみなさんに蒸留事業をやりたいという方がいるのだがどうだろうかという話をしたら、みなさん両手をあげてぜひ進めてほしいということだったので、すぐに中川さんをご紹介しました。

(中川さんの目標でもある)世界に金沢のジンを売っていこうという志が誠にすばらしい。Alembicは中川さんだけの会社ではなくて、大野の町にとっては、なくてはならない会社になりつつあります。」

”おかわりしたくなる“ジンのとおり、ロック、ソーダ、ジントニックで味わう出席者

中川代表が用意したジンについての説明パネル。意外と知られていない内容に来場者が読み入っていた。

『大野涼日』で地元のAlembicに。

Alembic蒸留所は9月4日、大野町界隈で行われた『大野涼日』というイベントに参加しました。

HACHIBANのボトルの販売にはたくさんの方が遠方からも来所。当日に販売したHACHIBANのジンソーダも行列ができるほど好評で、大野に誕生した蒸留所への注目と熱い期待が伝わってきました。

Alembic蒸留所前の駐車場では地元のカフェなどが出店しマルシェも開催。現場ではこの蒸留所がすでに大野という町にとけ込んでいるのを感じられ、大野の文化を作る場所に数えられる日も遠くないことを確信できました。



お問合せ先: 株式会社Alembic(アレンビック) 〒920-0331石川県金沢市大野町4丁目ハ17 TEL: 076-256-0980 E-MAIL: info@alembic.jp

Alembic大野蒸留所の公式通販が開始されました。以下のリンクから購入できます。 https://alembic.stores.jp/


Text: Joji Itaya













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