金沢初スピリッツ蒸留所アレンビックのジン、発売開始。
Oct 23, 2022
※海外ではスピリッツにはウイスキーなども含まれますが、日本ではウイスキー、ブランデー、焼酎を除いた蒸留酒がスピリッツとなります。
2022年8月27日。3年の準備期間を経て7月1日に操業を開始したAlembic大野蒸留所(代表取締役 中川俊彦)のファースト・バッチとなるジンが発売されました。その名もALEMBIC DRY GIN HACHIBAN。
HACHIBANはAlembicのジンの基本となるドライ・ジン

完成したばかりのHACHIBANのファースト・バッチについて、中川代表に説明してもらいました。
「HACHIBANはAlembicのジンの基本となるようなドライ・ジンを目指して造りました。名前の由来は、いくつもの試作レシピの中で、これだと選び出したのが8番目だったということ、そして使用したボタニカルが地元産を含め8種類だったことにあります。」
「ココ・シャネルも、試作品の香水のサンプルの中から5番目を選んだのでその名がついたと言います。『シャネルの5番』のように『8』というナンバーにはいつまでも長く残る数字であってほしいという期待も込めています。」

「初仕込みの看板商品は、本場のロンドンドライジンの伝統的製法を踏襲し、正統派を目指しました。また、ジンに初めて触れる人にもジンの魅力を伝えたいと思い、”おかわりしたくなる“というポイントにも焦点をあててレシピをつくりました。」
「最終的に使用したボタニカルは必須のジュニパーベリー、そしてコリアンダーシード、カカオニブ、瀬戸内産生レモンピール、オレンジピール、アンジェリカルート、カシア、漢方に使われ県内に自生するクロモジの8種 類です。」

「ジュニパーベリーの香りをじっくり引き出すために通常より多く使用し、グレープフルーツのようなフレッシュな柑橘系の香味とさまざまな香味が絡み合う仕上がりになりました。」
さらに中川代表はこう続けます。 「ニュートラルスピリッツと呼ばれる穀物由来の原酒にジュニパーベリー(西洋ネズ)の風味をつけて造るジンは、その他のボタニカル=ハーブやスパイスの配合で個性が出ます。理論でレシピを考えても、実際にやってみると香りの出方が違います。ひとつの原料を加えると他の原料の個性が立ち過ぎてしまい、逆にひとつを減らすとまた別の個性が顔を出したりと、まるでモグラたたきのような作業でした。」

大野で蒸留を始めるまでのこと

8月の8日にHACHIBANのファースト・バッチを仕込み終えた中川代表は「久しぶりに通しで仕込みました。蒸留を終えホースで床を流している時、横浜でのクラフトビールの醸造時代を思い出し、(酒造りの世界に)やっと戻って来れたなと思わず感慨に浸ってしまいました。そして目の前の貯酒タンクを見ながら、たくさんの人にこのジンを味わってもらおう、いよいよスタートだぞ、と気持ちを引き締めました。」と語っています。
ビール醸造家の経歴を持つ中川代表は2018年、神奈川県から金沢に移住。自身の思い描く「酒」を作りたいとOPENSAUCEで醸造・蒸留酒の計画をスタートさせました。2019年にはスタートアップ企業として株式会社Alembicを設立。日本海を臨み、金沢の海の玄関としても栄えてきた醤油の町「大野」にAlembic蒸留所を建設することになります。

この400年の歴史を持ち20社を超える醤油蔵が立ち並ぶ町に蒸留所を開業しようとした思いを、子供の頃を自然豊かなドイツや佐渡島で過ごした中川代表はこう話します。
「初めて訪れた大野は自分にとっての原風景とシンクロする場所でした。子供の頃から海や川、緑と水のあるところで育ったので自然は場所選びの重要なファクターでもありました。また大野の町にもひかれました。古い湊町、穏や かな海辺、土地の文化を守ろうとする人々。大野の発酵食文化の中で新しいお酒を造りたいと考えました。」

「ここ大野のもう一つのポイントは水。「醤油のまち」を育ててきた霊峰白山からの伏流水です。酒を造るには水は大きな魅力でした。蒸留所ではこの白山の水を湛えた井戸水を使用することができました。」
その後のメディア取材では、さらなる思いを語っています。「山が近く魅力的な金沢の環境を生かし、この大野から世界中に売れる商品を造って送り出したいと考えています。そして自分が海外の蒸留所を訪ね歩いたように、海外からもAlembic大野蒸留所を目当てにきてもらえるようになればと思います。また、まずは自分ができる範囲で始めましたが、先々、地元の若い人たちが働く場所になるように、何十年も続く蒸留所にしたいと考えています。」
